厚生労働省
/ /厚生労働大臣記者会見(2025年10月10日)質疑応答: mRNAワクチン「現時点で重大な懸念なし」など
福岡大臣会見概要
(令和7年10月10日(金)10:40~11:10 省内会見室)
福岡大臣会見概要 令和7年10月10日
厚生労働大臣記者会見(2025年10月10日)質疑応答まとめ
1. 臨時国会招集遅れによる影響
記者の質問
- 連立協議難航で臨時国会招集が遅れる報道あり
- 医療法、高額療養費、診療報酬など急ぐべきテーマへの影響は?
大臣の回答
- 国会日程についてのコメントは差し控える
- 次の政権発足までの間、諸課題に全力で取り組む
2. 高額療養費限度額引上げ問題
記者の質問
- 10月1日にリウマチ友の会など3団体が限度額引上げ中止を求める署名1万4千筆を提出
- 患者への実態調査やヒアリングの予定は?
- 秋までの再検討方針の見通しは?
大臣の回答
- 患者団体からの要望は把握(署名は団体が持ち帰ったため手元にない)
- 専門委員会で当事者参画のもと、複数回ヒアリングを実施し丁寧に議論中
- 患者の経済的負担が過度にならないよう配慮しつつ、負担能力に応じた分かち合いの観点から検討
- 実態調査はレセプトデータをベースにモデル分析中
- 見直しの判断は専門委員会の議論を見守る段階
3. 医療機関・介護施設への財政支援
記者の質問
- 2024年度の病院経常利益、約64%が赤字(前年度比+10ポイント以上)
- 高市総裁が補正予算での対応に言及
- 昨年度の支援は現場に届くまで約半年かかった
- 介護報酬についても高市総裁が引上げと補正予算での対応に言及
- 現場へのスピード感ある支援をどう考えるか?
大臣の回答
- 医療機関: 物価高騰や医療需要の急激な変化で厳しい状況と認識
- 2024年4月から福祉医療機構の融資を大幅拡充(資金繰り悪化対策)
- 介護分野: 医療機関同様に厳しい状況
- 補正予算等で措置を講じてきたが、物価高騰の影響は継続
- 対応は骨太方針2025を踏まえ新内閣で検討される
- 経営安定と現場の賃上げに確実につながることが重要
4. コロナワクチン購入契約文書の不開示決定取消判決
記者の質問
- 東京地裁がファイザー・モデルナなど4社との購入契約文書の全部不開示決定を取消
- 厚労省の対応は?
大臣の回答
- 国の主張が認められなかったと認識
- 判決内容を精査し、関係省庁と協議の上、適切に対応
5. 新型コロナワクチン接種記録の保存
記者の質問
- 特例臨時接種の記録は2026年2月に保存期間5年を迎える
- 予防接種法施行規則の改正を2026年2月前に施行すべきでは?
- デジタル登録作業は国が責任を持つべきでは?
大臣の回答
- 現在、各自治体で5年間保存中、2026年2月以降に保存期限到来
- 年内に審議会で議論し、2026年2月までに必要な法令整備を行う
- 各自治体の記録は既にデータ化済み(紙保存ではない)
- 2026年6月以降、自治体システムと国の予防接種システムの連携完了次第、データ移行
- 移行費用は国が手当
6. 保健所の記録保存
記者の質問
- コロナ禍対応最前線の保健所記録の保存期間・保管方法は?
- 厚労省から新たな指示を出す考えは?
大臣の回答
- 歴史的緊急事態として、原則として国立公文書館へ移管する文書として記録作成が求められている
- 保健所は地方公共団体が所管
- 内閣府から都道府県に対し、国の対応に準じた適切な保存を情報提供済み
- 保健所も同様の対応を求める
7. mRNAワクチンの審査方法への疑義
記者の質問
- ワクチン問題研究会が承認取消と市場回収を要望
- mRNAワクチンが従来型ワクチンとして審査され、本来必要な審査項目(生体内分布、標的臓器同定、胚・胎児毒性など10項目)が免除された
- 適正な審査が行われていないのでは?
大臣の回答
- PMDAにおいて、mRNAという新規技術に対応した審査を実施
- 個々のワクチンの特徴を踏まえ、追加的非臨床試験等を評価
- 有効性・安全性を確認して薬事承認
- 薬事承認後も副反応疑い報告を全例評価
- 現時点で安全性に係る重大な懸念は認められていない
8. 近年の死亡者激増の分析
記者の質問
- 令和4年・5年の死亡数増加の分析はいつ終わるのか?ワクチンの可能性も排除せず分析しているか?
- 令和6年の「診断名不明確及び原因不明の死亡」が前年比21.5%増加、この原因は?
大臣の回答
- 2024年10月6日に国立社会保障・人口問題研究所が分析結果を公表
- 2021年: 実績値がモデル値より約2万人多い
- 2022・2023年: 実績値がモデル値より約13万人多い
- 75〜89歳で約7万人の乖離
- 死因別乖離の大きさ順: ①新型コロナ ②心疾患 ③老衰 ④その他 ⑤悪性新生物
- この分析は人口学的観点のものであり、ワクチンが死亡に与えた影響の分析は行われていない
- 「原因不明の死亡」増加の要因は人口動態調査結果から把握困難
- どのような分析が可能か、専門家の意見を聴きながら検討
9. ワクチンの感染防止効果・まん延防止効果
記者の質問(複数回)
- 感染防止効果が認められていないワクチンが、なぜ「まん延防止」できるのか?
- 感染が防げる旨を菅総理・河野大臣が広報したことは薬機法第66条違反では?
- 無症状感染があるなら、発症予防だけではまん延を防げないのでは?
- メーカーが主張していない効果を第三者が流布することは薬機法違反では?
大臣の回答
- 新型コロナは鼻水・咳で飛沫感染を引き起こすことが明らか
- 発症予防効果(症状を発症しなくなる効果)が臨床試験で認められた
- 発症を予防することで、結果として感染症のまん延防止を図ることを目的に接種開始を決定
- 無症候者より症状のある人の方が感染リスクが大きいため、発症予防は感染対策として有効
- 薬機法第66条の広告規制は、①顧客誘引意図 ②商品名明示 ③一般人認知可能の3要件を満たす場合に適用
- 政府の広報は製品特定なし、顧客誘引性も否定されるため、広告に該当しない
- 臨床試験で発症予防が確認され、薬事承認後に研究者報告で重症化予防等が確認できる場合、科学的知見として情報発信することは問題ない
全体的な特徴
- 政権交代前の記者会見であり、多くの判断が「新内閣で検討」とされている
- ワクチン関連の質問が多数(記録保存、審査方法、死亡者増加、感染防止効果)
- 記者は薬機法違反や審査の適正性について執拗に追及
- 大臣は「科学的知見」「専門家の評価」「現時点で重大な懸念なし」と繰り返し回答
- 具体的な政策判断については明言を避け、「検討中」「審議会で議論」と回答