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高市早苗

高市早苗 / 意見・立場など / 選択的夫婦別氏制度(選択的夫婦別姓制度)

夫婦別姓制度には慎重に。「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」が成立すれば問題は解消する。




婚姻前の氏の通称使用に関する法律案(2002年、2020年法務部会へ提出)


・戸籍上の氏は、夫婦・親子で同氏(ファミリーネーム)そのまま維持しながら、婚姻前の氏を通称として使用する届出できる(これは今でも既にできる)。
・この通称使用の届出をした場合、国、地方公共団体、事業者、公私の団体は婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する
・この法律案が成立すれば、通称使用の届出をした場合に、国、地方公共団体、事業者、公私の団体がが、環境を整える責務が生じることになる。



この法案のこれまでの経緯


・最初の提出:2002年
- 当時の保守系議員「通称使用そのものを許さない」VS 当時の別姓推進派「通称使用だけじゃなくて、戸籍上分けてしまおう。戸籍の氏も住所も別々にするべき」
- 双方の意見が相容れず、法務部会での審査は通らず、国会にも提出されなかった。

・2回目の提出:2020年
- 法務部会に審査すらしてもらえず。



この法案が必要と考える理由:


夫婦共働き家庭が圧倒的に多くなっている現代において、
例えば、仕事をする上で、婚姻前後で氏が変わると名刺とか説明とか不便という事が言われている。
であれば、婚姻前の氏を通称として使用する届出をした方に関しては、もっと便利にしたいという思いがあったから。



総務大臣時代の4年間のうち2019年から約1年間でできたこと:


・総務省が所管する法令:住民基本台帳法、地方自治法、公職選挙法、消防法、放送法、電気通信事業法など全ての法令をチェック
・総務省が所管する資格制度、事務手続きをする際に、戸籍の氏しか使えないようになっていたものを、全て婚姻前の氏(旧姓)が使用できるようにした。
結果:
総務省が単独で行なっている手続きに関しては全て(1142件)において旧姓を使用できるようになった。
・婚姻前の氏
・(通称使用届を出している場合は)戸籍上の氏と婚姻前の氏の併記
のどちらかで対応できるようになった。

ポイント:
・法律を変えたのではなく、総務省の全部の法令をチェックして各所に通知を出しただけでこの変更できた。
・全ての役所の大臣が同じことをやるだけで、旧姓使用に関する不便はなくなる。

例えば、
金融庁に対して同様の取り組みをしてもらいたい
・【自身の例】
- 高市早苗から山本早苗に変わったが、通称使用届を出していた
- 住民票もパスポートも併記になっている(山本(高市)早苗)ので身分証明はできるが、金融機関によっては、戸籍氏しか認められない場合がある。(旧姓でもOKな金融機関もある)
- 銀行は2割・信用金庫は4割が戸籍氏飲みの受付

→ 全国銀行協会・信用金庫協会への金融庁から通知を出せば改善可能(法律を変える必要なし)

厚生労働省に対して同様の取り組みをしてもらいたい
・現状年金振り込みは戸籍氏の通帳のみ
・これも厚生労働大臣が通知を出せば解決する問題
・住民票・マイナンバーカード、運転免許証も併記される(例:山本(高市)早苗)なので身分証明する方法はいくらでもある。
そういう身分証を使用する方に関しては、婚姻前の氏の口座に年金を振り込めるようにすれば良い。



経団連からの提言書について


・2024年6月10日、一般社団法人 日本経済団体連合会が選択的夫婦別氏制度の導入を要望する提言書を公表。
※経団連提言 「選択肢のある社会の実現を目指して 〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜」https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044.html

・経団連がこの要望を出す理由は?:
- 働く女性の不便解消・国際社会での活躍のため
- 不動産登記が旧氏で不可能

ですが、

・不動産登記は2024年4月1日より旧氏で可能になっている
・パスポートはかなり昔から併記で発行可能
・現状マイナンバーカード、パスポート、運転免許証、住民票、印鑑登録証明書は戸籍氏と旧氏の併記が可能
・国家資格については、314種類の国家資格全てに旧氏が既に使用可能(内閣府調査)

現状の通称使用届を出すだけで身分証明などで困ることはない。




「選択的だから良いだろ」という意見に対して慎重になるべき理由:


・過去に提出された選択的夫婦別氏制度のための民法改正案:参議院(旧民主党)、衆議院(立憲民主党)(いずれも内容は同じ)
- 別氏夫婦の子は出生の際に父母の協議で定める父又は母の氏を称する
- 競技が調わない時は家庭裁判所は協議に代わる審判をすることができる
夫婦で子供の氏を取り合うことになる事態は想定していると読み取れるが、裁判所は何を基準に出生直後の子供の氏を決めるのかが心配される。



「実家のお墓が守れない」という意見に対して:


お墓を守るかどうかは氏に関係なく気持ちの問題。
結婚して氏が変わったとてご先祖様への敬意・感謝の心を伝えていくことは氏とは関係ない。



「戸籍制度を無くせば良い」と主張する人々に対して:


・日本の戸籍制度は世界に例を見ない見事なシステム
- 重要な身分関係を明確するために、血族・姻族・配偶関係を記載した公簿
- 結婚などの際に、旧戸籍と新戸籍の双方に相手方戸籍を特定表示できる
- 相手方戸籍を相互に索出でき、両戸籍を連結する記載が可能で無限の親族関係の広がりを証明することができる

だからからこそ、戸籍の公証力は非常に強いものである。

- 例えば、遺産相続などでも隠れた法定相続人を探す事が可能
- また、近新婚の防止・出生・死亡・離婚・任意認知・母子家庭の児童扶養手当・障害児童の特別児童扶養手当・母子父子寡婦福祉資金貸付・戦没者遺族に対する特別弔慰金・成年後見の申立続き・家事調停事件手続きなど、様々な場面で行政や司法の基礎となっている。

他国に誇れる優れた制度だからこそ守り抜くべき